予定外の強い雨がイベント開始直前に上がり一安心。
自然観察会「希少な水草を観察しよう!」を開催しました。
初開催となる水草観察会で、講師は岩手県立大学の島田先生。
津波によるかく乱で出現した水草を保全している震災遺構「下宿定住促進住宅」の水生植物プールで、絶滅危惧種に指定されている希少な水草を観察します。
まず、島田先生より水生植物プールができた経緯などを説明。
東日本大震災の津波により、えぐられてでききた湿地で確認された「ミズアオイ」。
土の中で休眠していた「埋土種子」から発芽したものです。
復興工事により造成されることとなったため、土壌を仮移植したところ、ミズアオイのほかにも「イトクズモ」など希少な水草が確認されました。
公園整備にあたり、これらの水草を保全するために準備された湿地環境が水生植物プールです。
説明の後は、池の縁に移動してミズアオイなどを観察。
普段は立入禁止となっていますが、観察会では特別に柵の中に入って間近に観察したり、写真を撮ったりすることができます。
水辺に近づいてみると、ミズアオイ以外にもお花が咲いていることに気が付きます。
こちらは、白や淡いピンクの花がかわいらしい「ミズオオバコ」。
水中の葉の形がオオバコに似ていることから名づけられました。
環境省(2020)では絶滅危惧Ⅱ類、岩手県(2024)では絶滅危惧Ⅰ類に指定される希少な植物です。
最も目立つ、青紫色の花が「ミズアオイ」です。
古くは、万葉集にも登場する花ですが、水田雑草として扱われ農薬の使用等により生育地が少なくなり、環境省(2020)では準絶滅危惧、岩手県(2024)では絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
島田先生から、花弁とガクの数、1本だけ大きく青紫色の雄しべと花粉を運ぶ虫との関係など、ミズアオイについて詳しくお話しいただきました。
水中に目をやると、お花以外にも、希少な水草が。
鳥の羽毛のような姿をしているトリゲモの仲間。
こちらでは、「サガミトリゲモ」と「イトトリゲモ」が確認されていますが、どちらでしょうか?
池の中では観察しづらいので、先生があらかじめバットに用意してくれたもので観察します。
葉の太さにも違いがあるそうですが、顕微鏡で区別点である種子を確認したところ、どうやら「イトトリゲモ」のようです。
環境省(2020)では準絶滅危惧、岩手県(2024)では絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
最後に、参加者の皆さんから先生への質問タイム。
植物談議に花が咲きます。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
岩手県内で埋土種子から再生した水草を保全している場所の内、絶滅危惧種の種数が最も多いのが当公園の水生植物プールです。
希少な植物と、その生育環境を守るために。
春にはガマなどの刈払いや、掻き起しのイベントも企画したいと思いますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。